社会福祉法人はるな郷では、群馬県高崎市で知的障害者への総合的なサービス提供しています。

　社会福祉法人はるな郷の理事長に就任した町田錦一郎です。１０代目の理事長という節目に当たって、私が抱いている感慨をお話しし、恐縮ですが、私の挨拶に代えさせていただきたいと思います。
　至誠一貫（しせいいっかん）――仕事や人生の節目節目で、この言葉を思い出しては、自分自身を振り返ってきました。以前、県の公安委員会の委員長に就任した際も、挨拶や就任会見で、この言葉を引用しました。
　この言葉は孟子に由来し、簡単に言えば、ごまかすことなく、相手への誠意を貫き通すという意味です。そう言うと、「聖人君子ならいざ知らず、ふつうの人間にはとても無理だ」と思う人もいるでしょう。けれども、私は決して難しいことではない、少なくとも不可能ではないと思っています。
　例えば、ビジネスの世界では、商品やサービスの質をごまかしたり、取引先を泣かせたりして、目先の利益を上げようとする企業があります。確かにそれで一時的には利益を上げられるでしょうが、長い目で見れば、そんなことは長くは続かない。成長して信頼を勝ち取る企業は、最終的にはやはり、至誠一貫した企業ではないでしょうか。
　それは個人でも同じです。その場しのぎの仕事をしていれば、そのツケは、必ず自分で払わなければならなくなる。がまんして至誠一貫した人の方が、利用者や同僚と信頼関係を築き上げ、成長することができる。「正直者が馬鹿を見る」と言う人もいますが、それは短絡的なことです。長い目でみれば、どんな仕事でも正直者こそ日の目を見る。少なくとも、そういう組織や社会にしていかなければならないと考えています。
　至誠一貫。伝統あるはるな郷の理事長に就任し、改めて、この言葉を思い返しています。

理事長　町田　錦一郎